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見えない世界で感じたこと - ブラインドサッカーを通じてアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に気づく

見えない世界で感じたこと - ブラインドサッカーを通じてアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に気づくのイメージ

こんにちは、GTM企画チーム ごんどうです。

今回は私が休日に取り組んでいるブラインドサッカーをご紹介します。

視覚障がいのある選手がプレーするブラインドサッカー(ブラサカ)は、パラリンピックの競技にもなっているので、知っている方も多いと思います。フットサルをもとに考案され、アイマスクを着用した選手が、シャカシャカ鳴るボールの音、対戦するチーム陣のゴール裏にいるガイド、ゴールキーパー、監督からの声を頼りに、フェンスに囲まれたピッチでプレーする競技です。実際に観戦すると、選手がぶつかり合う激しさに驚き、美しいドリブルに感動し、会場を包む熱気に興奮します!! 試合を見るたびに、本当に皆さん見えていないんですよね?と思ってしまいます。

 

私は日本ブラインドサッカー協会(JBFA)が主催する体験会に参加したことがきっかけで、今では各地で行われる大会に運営ボランティアとして参加しています。どんなことをやるかというと、まずはボランティア総出で会場作りをします。選手がサイドラインに身体が触れることで位置がわかるように、サイドライン上にフェンスを設置します。大会によっては地元サッカー少年チームが会場設営を手伝ってくれて、試合を観戦した子どもたちから、スゲー、カッケーという歓声を聞くと、とても嬉しい気持ちになります。

写真:会場設営はボランティアの手で

サッカーは中学生の頃に体育の授業で行った程度で自分とはあまり縁のないスポーツでした。でも、ブラサカとの運命の出会いの場となった体験会で、アイマスクを装着してボールを蹴ったり、ピッチで走ったり、ガイドの指示で動いてみたりと。その後、実際に試合を観戦し強い感動とともに、この競技に関わりたいという気持ちが芽生えました。それはブラサカを支えるのに地域の方々のご協力や、ボランティアの存在が大きいことに気づいたからです。

ブラサカに関わり始めて、選手と接する機会も多くあります。ある選手は、前から歩いてくる人の足音などで、その方が女性なのか、高齢者なのか、とある程度予測できたり、慣れてくると声のトーンなどで相手の調子もわかるそうです。顔をみても判断できないことを、声や雰囲気で感じ取ってしまうのは驚きました。

また、ある選手は、視力を失う前からサッカーをしていたが、ブラサカに出会って、ガイドの声を頼りに、自由に走りまわる感覚を再び取り戻せたことが最高の喜びだった、と話していました。ガイドの的確な指示や周りにあるフェンスがあることによって、走る恐怖が喜びに変わったそうです。

選手の皆さんは様々な試練や困難を乗り越え、そして悔しさをバネにプレーしています。

ブラサカ選手にとって、周りの声や仲間たちとの声の掛け合いは非常に重要です。そのため、ブラサカは静かに観戦するのが観客のマナー。でもゴールが決まったときは、盛大に自分の声を選手に届けます。魅力的な選手を間近で応援できることも、ブラサカ観戦の魅力の一つだと思います。

ところで、皆さんは駅のホームなどで白杖を持った人を見かけて、声をかけるか迷うことはありませんか?私は声をかけたい気持ちと、やめておこうという気持ちで迷いながら、結局通り過ぎていました。

ご本人に聞いてみると、自分たちはヘルプが欲しい時は周りに人がいる気配で声をかけるから、すたすたと歩いているときは声をかけてもらわなくても大丈夫です、と言っていました。ただ、音の出ない信号機で、青でも渡っていなかったら、まず左肩をたたいて、そして声をかけて教えてください、とのことでした。そして、その場から立ち去るときは声をかけてほしい、とも言っていました。人がいなくなったことに気づかず、一人でしゃべり続けることがあるそうです。少しの知識と気配り、さりげない声掛けで、バリアがなくなってきますね。

ブラサカの活動は、意思の疎通が難しいと思われる相手に、どのように伝えれば良いか、を考えるきっかけになりました。相手にわかってもらうためには、自分自身の意識変革が必要です。そして、障がい者、健常者関係なく、1つのことを通してさまざまな人が混ざり合い、社会変革を起こせるほどの大きな力が生まれています。このような力が、偏見を取っ払っていくのだと私は思います。

 

以下、JBFAのHPから引用いたします。

私たちは、知らず知らずのうちに「ふつうはこのくらい」というボーダーラインを設けて物事を捉えているのかもしれません。「見えないならこのくらい」「障がい者はここまで」「女性や子供には無理」……。しかし、ブラインドサッカーの選手たちのプレーは、私たちが無意識に設定している固定概念や価値観に対して、「本当にそうなの?」と見直すきっかけを与えてくれます。

本当にその通りだと思います。アンコンシャス・バイアスを取り除くきっかけとなったブラサカ。選手、審判員、ガイド、会場運営ボランティア等、様々な形で関わり、混ざり合うことができますので、興味のある方はぜひJBFAのHPを覗いてみてください。

https://www.b-soccer.jp/blind_soccer

 

また、「見えない世界でスポーツをすること」は、多様性への適応力の向上や職場内コミュニケーションの改善にも役立つことから、チームビルディングなど、企業での研修にも取り入れられています。詳しくはJBFA主催Off Time Bizを参照ください。

写真:様々な困難を乗り越え、見る人に感動と興奮を与えてくれる選手の皆さん

◆最後に、

見えない世界ってどんな世界?というのをユーモラスに、そしてわかりやすく教えてくれる本を紹介します。スーダンから19歳で来日、様々な経験を経て、パソコンの音声ソフトを駆使し自分で執筆したモハメド・オマル・アブディンさんの手記「わが盲想」。現在もブラサカのクラブチームでストライカーとして活躍しています。見える、見えないに関係なく、自分にできないことはない!と背中を押してくれる、前向きになれる1冊です。

写真:モハメドさんの異文化体験手記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<事例/ビジネスインサイトはこちらから>
https://nttcdd.jp/insight/

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