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インターネット上のボトルネックを可視化し、クラウド利用者のデジタル体験の向上へ

インターネット上のボトルネックを可視化し、クラウド利用者のデジタル体験の向上へのイメージ

こんにちは、GTM企画部 マーケティン部のMatsumotoです。
この度は、弊社がCisco ThousandEyesのプログラマビリティーを生かして、そこに独自の拡張機能を搭載して、デジタル体験の向上に資する付加価値を提供しているソリューションをご紹介します。

クラウド利用で直面するCX/UX低下の問題

企業のITシステムのクラウドシフトが進み、顧客に対するさまざまなサービスをクラウドから提供するようになりました。たとえばeコマースのサイトなども、オンプレミスのデータセンターからクラウドへとほぼ全面的に移行しています。社内の業務アプリケーションについても同様です。コロナ禍を経てリモートワークやハイブリッドワークに象徴される従業員の働き方改革が進み、この流れを受けてSaaSの利用が拡大しています。

そこで、こうしたクラウド利用が拡大する中でしばしば直面するのが、CX(顧客体験)/UX(ユーザー体験)の低下という問題です。さまざまなITサービスやアプリケーションを利用する顧客や従業員が体感するパフォーマンスが低下してしまいます。たとえばECサイトでせっかく気に入った商品が見つかったとしても、注文ページになかなか遷移しないといったストレスを感じると、顧客は購買意欲を失ってサイトから離脱してしまうか、他社のサイトに移ってしまう。業務で利用しているさまざまなSaaSも同様で、従業員が体感するパフォーマンスの低下は生産性の低下に直結します。
クラウドへアクセスする際に多くのユーザーが経由するインターネットの回線品質が、ベストエフォートであることがその一因です。インターネットを通じてデータ(パケット)を送受信する経路の途中でネットワーク帯域が逼迫したり、ルートの迂回が発生したりすると、パケットの到達が遅れてパフォーマンスが低下してしまいます。

この問題の解決に乗り出したのが、弊社は乗り出しました。GTM本部 副本部長の内田が、「シスコシステムズがCatalyst 9000スイッチにバンドルする形で提供しているインターネット可視化ツールThousandEyesに対して、弊社が独自開発した拡張機能を提供することで、CX/UX改善をサポートします」とコメントをもらっています。

GTM本部 副本部長 内田

インターネットのボトルネックを可視化

まずはベースとなっているシスコシステムズのThousandEyesについて解説しておく必要があります。
端的に申し上げますとThousandEyesとは、クラウドサービスからユーザーの端末に至るまでのインターネットの経路をエンドツーエンドで可視化し、ユーザーが体感するパフォーマンスを数値化して示すソリューションです。これによりインターネットの経路の途中で起こっているネットワーク障害や、帯域の逼迫などを迅速に把握することができます。
どうやってこれを実現しているのかというと、重要な役割を担っているのが次に示す3つのエージェントです。

1. Cloud Agent
 シスコシステムズがインターネットの主要ノードに設置している監視エージェント。グローバルで190以上の都市に配置されています。

2. Enterprise Agent
 企業が自社のデータセンターや拠点で運用しているサーバーやネットワーク機器にインストールする監視エージェント。

3. Endpoint Agent
    エンドユーザーが利用する端末上のブラウザにプラグインとしてインストールする監視エージェント。

図1:ThousandEyesは3つのエージェントによりインターネットの経路をエンドツーエンドで監視します

GTM本部 パートナー営業部 IPOチーム グローバルプログラミング マネージャーの増田は、「この3種類のエージェントから収集されたデータをシスコシステムズ独自の機械学習モデルを実装したAIによって解析し、インターネットの経路上で発生しているパフォーマンス問題の根本的な原因を明らかにするとともに、関係者にアラートを通知します」と説明しています。

 

写真2:GTM本部 パートナー営業部 IPOチーム グローバルプログラミング マネージャー 増田

さらにThousandEyesのタイムラインビューでは、時間をさかのぼって問題が発生した時点の状況をグラフ上で確認することも可能ですし、クラウドサービスからインターネットの中継点、エンドユーザーの足回り回線にいたるまで、どのレイヤーに問題があるのかを深掘りして把握できるツールとなっています。

ThousandEyesに独自の拡張機能を実装

上記のようにThousandEyesはそれ自体でも高度な機能を備えていますが、そこになぜ弊社が独自の機能拡張を付加したのか。
「ThousandEyesは標準でチャットツールのSlackと連携してアラートを通知できますが、特に日本企業の間では、コミュニケーションツールとしてCisco WebexやMicrosoft Teamsが一般的に使われています。ならばそれらのツールに対応したほうがより多くのお客様の需要にお応えできると考えました」と内田は語っています。
実際に開発を行ったのは、弊社のマレーシア拠点のマレーシアCoEチーム(Char-Boo Lim、Yoong-Seong Hui、Ming-Keat Pang)です。内田によりますと、マレーシアCoEチームは「シスコシステムズが主催する開発コンテンストや、NTT内のグローバルな開発コンテスト等のさまざまな賞を受賞してきたチーム」 であって、今回の拡張機能についてもお客様の潜在ニーズを捉えた着想から企画、構築まですべてをリードしてきました。

写真3:マレーシアの CoEチーム(左からYoong-Seong Hui、Ming-Keat Pang、Char-Boo Lim)

「ThousandEyesは多くの競合ベンダーからも提供されているため、そこに弊社だけの独自の付加価値を提供したいというのが、開発にいたったきっかけです。そしてその付加価値を通じて、より多くのお客様にThousandEyesそのものの魅力を知ってほしいと考えました」とマレーシアCoEチームのメンバーは語っています。

図2:弊社がThousandEyesに提供する付加価値の一部

これによりThousandEyesの拡張機能は、弊社とシスコシステムズのパートナーシップをさらに深め、新たなシナジーを発揮する触媒となる可能性もあります。
GTM本部 パートナー営業部 セールスチームの東野は、「実際にこの拡張機能はシスコからも高い関心をいただいており、この拡張機能が同社を通じてさまざまな場面で紹介されるようになれば、それは弊社が提供している幅広いソリューションのビジネスチャンスにもつながっていくはずです」と期待を寄せています。

写真4: GTM本部 パートナー営業部 セールスチーム 東野

ThousandEyesの拡張機能が提供する付加価値

ThousandEyesの拡張機能は、具体的にどんな付加価値を提供するのか。そこには大きく3つのポイントがあります。

1点目
先に触れた通りCisco WebexやMicrosoft Teamsとの連携です。ThousandEyesの標準機能であるSlackとの連携では、要約された一部の情報だけしかアラートとして通知できませんでした。これに対してCisco WebexやMicrosoft Teamsと連携することで、関係者に伝える情報量を大幅に増やしました。
「ネットワーク遅延が起こったときに、経路上のどこがボトルネックとなっているのか。たとえばDNSの応答時間(名前解決時間)やネットワークパスの滞留時間など、アラートに関連した数値情報もあわせて提供します。またメッセージ内のリンクをクリックすればダイレクトにThousandEyesのダッシュボードを開き、より詳細にアラートの中身を掘り下げて確認することができます」(東野)

2点目
ThousandEyesとの2Way(双方向)アクセスです。Cisco WebexやMicrosoft Teamsの画面からメニューを選択することでThousandEyesに コマンドを飛ばし、任意の情報を得ることができる。「この機能は弊社の販売パートナーであるSCSKやSDCからもリクエストを受けて開発したものです」(Char-Boo Lim)

3点目
最近になって実現されたオープンソースのダッシュボード ツール「Grafana」との連携です。ThousandEyesの情報をGrafanaのダッシュボード上に出力するほか、他の監視ツールから収集した情報も同じ画面に統合し、一元的な監視・管理を実現します。GTM本部 パートナー営業部セールスチーム チームリーダーの田澤は、「Grafanaのダッシュボードの優れたカスタマイズ性を活かし、お客様ごとの運用環境にあわせた作り込みにも対応していきます」と語っています。

 

写真5:GTM本部 パートナー営業部セールスチーム チームリーダー 田澤

さらにセキュリティ強化に資する機能を実装

これにとどまらずマレーシアの開発チームでは、ThousandEyesをプラットフォームとしたさらなる機能拡充を進めており、「シスコシステムズのXDR(クロスレイヤーの脅威検知と対応)ソリューションであるSecureX との連携機能の開発にもすでに着手しました」とChar-Boo Limは語っています。

これによりネットワークの途中経路のボトルネックを発見してパフォーマンス改善に貢献するだけでなく、悪意をもったサイトを検知してルートを回避するなど、セキュリティ強化のためにもThousandEyesを役立てることが可能となります。

そして、この一連の取り組みはシスコシステムズからも高く評価されており、シスコシステムズ主催のパートナー会社でのプレゼンテーションコンテストで優勝した際に以下のメッセージが寄せられています。
「ペルソナをしっかりご定義いただいて、新たに今我々が直面しているHybrid Workという課題をUse Caseベースで落とし込んでご提案いただいているというところが評価ポイントになりました。シスコシステムズが今力を入れているプログラマビリティーまで触れていただいて、非常に世界観の広がりがあるというところまでご提案のスコープが広がっているというところも評価ポイントになりました。ぜひ横展開をしていただいて、さまざまな方々に今後Secure Hybrid Workの重要性、それに対してシスコSASEというものが組み込まれていくというところの世界観を伝えていっていただきたいと思っております」

 

最後に

冒頭で述べましたようにクラウドシフトが進むにつれ、ネットワーク上でブラックボックス化する部分が増えていき、ガバナンスを効かせることが困難になっていきます。
マルチクラウド環境で複雑化していくネットワークの運用管理を少人数のスタッフでも効率的に行えるようにすることを目指し、弊社独自のノウハウを生かしたソリューションを、ThousandEyesを通じて幅広いお客様に向けて提供していきます

▽Cisco ThousandEyes Integrationsのホワイトペーパーはこちら
https://nttcdd.jp/insight/4666/

▽Cisco ThousandEyes IntegrationsのYoutube動画でもご紹介しています。

 

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